胃は、食道と十二指腸の間に位置する袋状の臓器で、胃の壁は内側から粘膜、筋層、漿(しょう)膜の順にいくつかの層が重なってできています。胃の主な役割は、食道からきた食べ物をため、たんぱく質や脂肪などを消化し、少しずつ腸へと送り出すことです。胃の粘膜からは消化酵素や胃酸を含む胃液が分泌されており、食べ物は胃液と混ざり合うことで消化されます。
胃がん
胃がん

胃は、食道と十二指腸の間に位置する袋状の臓器で、胃の壁は内側から粘膜、筋層、漿(しょう)膜の順にいくつかの層が重なってできています。胃の主な役割は、食道からきた食べ物をため、たんぱく質や脂肪などを消化し、少しずつ腸へと送り出すことです。胃の粘膜からは消化酵素や胃酸を含む胃液が分泌されており、食べ物は胃液と混ざり合うことで消化されます。
胃がんは、胃の内側をおおう粘膜の細胞ががん化したものです。がん細胞が増殖するにつれ、徐々に粘膜から筋層、漿膜へと外側に深く広がっていきます。がん細胞が漿膜の外側まで達すると、胃の近くにある大腸や膵臓、横隔膜、肝臓などの臓器にも直接がんが広がっていきます。
胃がんは、「組織型分類」「肉眼的分類」「深達度分類」「ステージ分類」によって分類されています。
胃がんの90%以上は「腺がん」であり、さらに「分化型胃がん」と「未分化型胃がん」に分けられます。
がん細胞が腺管構造をつくりながらまとまって増殖するタイプで、比較的進行が緩やかで高齢の男性に多い傾向があります。
がん細胞の形や並び方に、胃や腸の粘膜構造が少ないがんであり、比較的進行が速く、比較的若年の女性に多い傾向があります。まれな組織型として、扁平上皮がん、神経内分泌がん、悪性リンパ腫、GIST(消化管間質腫瘍)などがあります。
内視鏡検査やX線検査による肉眼的所見による分類で、以下の6つに分類されます。
胃の粘膜の表面にとどまっている早期がん。さらに、隆起型、表面隆起型、表面平坦型、表面陥凹型、陥凹型に細分化されます。
ポリープのように盛り上がっているもの。
潰瘍のようなくぼみがあり、周囲との境界が比較的はっきりしているもの。
潰瘍のようなくぼみがあり、周囲との境界が不明瞭なもの。
スキルス胃がんとも呼ばれ、胃の壁に沿って広がっていくもの。
上記のいずれにも分類できないもの。

がんが粘膜下層までにとどまっているもので、内視鏡治療で完治する可能性が高いです。
がんが固有筋層より深く進行しているものです。

胃がんの診断と治療方針の決定には、がんの進行度(ステージ)も考慮されます。

胃がんは日本人に多いがんの1つであり、罹患数(がんと新たに診断される人の数)は大腸がん、肺がんに続く第3位です。女性よりも男性に多く、男性では10人に1人、女性では21人に1人の確率で胃がんにかかると推定されています。胃がんの発症は50歳を過ぎると徐々に増加し、80歳代で罹患率が最も高くなります。人口の高齢化の影響で罹患数は年々増えていますが、早期発見・早期治療が可能となってきていることから、胃がんで死亡する人の数は減少傾向にあります。
胃がんの主な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、食生活、喫煙、遺伝などが挙げられます。
胃の粘膜に生息する細菌で、感染すると慢性的な炎症を引き起こし、胃がんのリスクを高めます。
塩分の摂りすぎ、野菜や果物の摂取不足、加工肉や焦げた食品の摂取などがリスクを高めます。
喫煙は胃がんだけでなく、様々ながんのリスクを高めます。
家族に胃がんの人がいる場合、リスクが高まることがあります。
年齢が上がるにつれて胃がんのリスクは増加します。
これらの状態は胃がんのリスクを高めます。
特定の遺伝子の変異が胃がんのリスクを増加させる可能性があります。
胃がんの家族歴がある場合、リスクが高くなる可能性があります。
特定の職業(例:鉱山労働者、ゴム産業従事者)では胃がんのリスクが高くなる可能性があります。
胃がんの症状は、初期段階ではほとんど自覚症状がないことが多く、進行するにつれて様々な症状が現れます。代表的な症状と、注意すべき点について解説します。
無症状
早期の胃がんは、ほとんどの場合、自覚症状がありません。
軽い胃の不快感
胃もたれ、胸やけ、食欲不振など、通常の胃炎と区別がつきにくい症状が現れることがあります。
胃の痛みや不快感
みぞおち周辺の痛み、重苦しさ、圧迫感などが現れます。
食欲不振、体重減少
食欲が低下し、体重が減少することがあります。
吐き気、嘔吐
胃の出口に近い部分にがんができると、食べ物が通過しにくくなり、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。
吐血、黒色便
がんから出血すると、吐血したり、便が黒くなったりすることがあります。
貧血
慢性的な出血により、貧血になることがあります。
嚥下困難
食道に近い部分にがんができると、食べ物が飲み込みにくくなることがあります。
腹部の膨満感
胃の出口が塞がれると、食べ物が胃に溜まり、お腹が張ることがあります。
全身倦怠感
全身のだるさや疲れやすさを感じることがあります。
これらの症状は、胃がんだけでなく、胃炎や胃潰瘍など他の病気でも起こりうるため、症状だけで胃がんかどうかを判断することはできません。
特に、40歳以上の方で、上記のような症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。
定期的な胃がん検診を受けることで、早期発見・早期治療につながります。
胃がんの検査には、以下のようなものがあります。
胃の内部を直接観察し、組織を採取して詳しく調べます。直接胃の粘膜を観察する内視鏡検査の方が、早期がんの発見においてバリウム検査より優れており、当院では内視鏡検査を定期的に受ける事をお勧めしております。
バリウムを飲んでX線撮影を行い、胃の形や粘膜の状態を調べます。影絵として診断するため凹凸の少ない早期がんを見落とす可能性があります。また被ばくするリスクや、バリウムによる胃腸症状が出現する場合があります。
ピロリ菌感染の有無や腫瘍マーカーなどを調べます。
胃がんの治療法は、がんの進行度(ステージ)、患者様の年齢や全身状態、希望などによって選択されます。主な治療法は以下の通りです。
内視鏡治療
早期胃がん(ステージI)で、リンパ節転移の可能性が低い場合に選択されます。内視鏡を使って、がんのある粘膜層や粘膜下層を切除します。開腹手術に比べて体への負担が少なく、入院期間も短くて済むというメリットがあります。
手術療法(外科治療)
進行胃がん(ステージII、III)や、内視鏡治療が難しい場合に選択されます。胃の一部または全部を切除し、必要に応じて周囲のリンパ節も切除します。手術方法には、開腹手術と腹腔鏡手術があります。腹腔鏡手術は、開腹手術に比べて傷が小さく、体への負担が少ないというメリットがあります。
薬物療法(化学療法)
手術で切除しきれない進行胃がんや、再発した場合に選択されます。抗がん剤や分子標的薬を投与し、がん細胞の増殖を抑えたり、死滅させたりします。
薬物療法には、以下の種類があります。
点滴や内服薬で全身に薬を投与します。
腹腔内に直接薬を投与します。
手術後の再発予防のために行われます。
放射線療法
胃がんの治療では、放射線療法はあまり一般的ではありません。しかし、手術後の再発予防や、痛みの緩和などの目的で行われることがあります。
免疫療法
近年、がん免疫療法が注目されています。免疫チェックポイント阻害薬などを使用し、患者自身の免疫力を高めてがん細胞を攻撃します。一部の進行胃がんに対して有効性が示されています。
緩和ケア
がんによる痛みや吐き気などの症状を和らげ、患者様のQOL(生活の質)を向上させるための治療です。がんの進行度に関わらず、必要に応じて行われます。
胃がんの予防には、生活習慣の改善と定期的な検診が重要です。以下に、具体的な予防策をいくつかご紹介します。
食生活の改善
塩分の過剰摂取は、胃粘膜を傷つけ、胃がんのリスクを高めます。減塩を心がけ、薄味の食事を意識しましょう。
野菜や果物に含まれるビタミンや食物繊維は、胃粘膜を保護し、がんの発生を抑制する効果が期待できます。バランスの取れた食事を心がけ、積極的に摂取しましょう。
これらの食品には発がん性物質が含まれている可能性があります。
不規則な食生活は胃に負担をかけ、胃がんのリスクを高める可能性があります。1日3食、規則正しい食生活を心がけましょう。
定期的な胃内視鏡検査
早期発見・早期治療:定期的な胃内視鏡検査は、早期発見・早期治療に繋がり、完治の可能性を高めます。特に、ピロリ菌感染者や、胃がんの家族歴がある方は、定期的な検診をおすすめします。当院では40歳から1年に1度の内視鏡検査を勧めております。
ヘリコバクター・ピロリ菌への対策
ピロリ菌は胃がんの最大の原因の一つです。ピロリ菌検査を受け、感染が確認された場合は、除菌治療を受けましょう。
トイレの後や食事の前、調理の前後には必ず石鹸と水で手を洗います。
食材は十分に洗い、加熱してから食べます。
特に感染者との食器の共有は控えます。
親から子どもへの食べ物の口移しをしないようにします。
これらの予防法を実践することで、ピロリ菌感染のリスクを低減できる可能性があります。特に乳幼児期の感染予防が重要とされています。
禁煙・節酒
喫煙は胃がんのリスクを高めるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。禁煙を強くお勧めします。
過度の飲酒は胃粘膜を傷つけ、胃がんのリスクを高める可能性があります。適度な飲酒を心がけましょう。
ストレスは胃の働きを低下させ、胃がんのリスクを高める可能性があります。適度な運動や趣味などでストレスを解消しましょう。
その他
適度な運動は、全身の血行を促進し、胃の働きを活性化させます。
十分な睡眠は、体の免疫力を高め、がんの発生を抑制する効果が期待できます。
これらの予防策を実践することで、胃がんのリスクを大幅に減らすことができます。しかし、これらの予防策は、あくまでもリスクを減らすためのものであり、完全に胃がんを予防できるわけではありません。少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診するようにしてください。
胃がんやピロリ菌についてご質問やご相談がありましたらお気軽にお声がけください。
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