ピロリ菌は胃の中に住む細菌で、様々な胃の病気と関連があります。この菌は主に幼少期に口を介して感染し、一度感染すると自然には消えにくいのが特徴です。
ピロリ菌
ピロリ菌

ピロリ菌は胃の中に住む細菌で、様々な胃の病気と関連があります。この菌は主に幼少期に口を介して感染し、一度感染すると自然には消えにくいのが特徴です。
ピロリ菌は以下のような問題を引き起こす可能性があります。
ピロリ菌が胃に棲みつくことで、以下のような具体的な健康問題が引き起こされる可能性があります。
ピロリ菌感染により、胃の粘膜に持続的な炎症が生じます。
胃の粘膜が酸の影響を受けて弱まり、深くえぐられた状態になります。
ピロリ菌感染者は生涯で胃がんを発症する可能性が約15%あると言われています。
胃もたれ、胸焼けなどの症状が現れることがあります。
長期間の感染により、胃粘膜の萎縮が進行します。
特に鉄欠乏性貧血のリスクが高まる可能性があります。
ピロリ菌感染との関連が示唆されています。
胃に発生する特殊なリンパ腫の一種です。
これらの健康問題は、ピロリ菌感染を放置することで長期的に発生するリスクが高まります。早期発見と適切な治療が重要です。ピロリ菌が胃に棲みつくことができる主な理由は、この細菌が持つ特殊な能力にあります。
ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を分泌します。この酵素は胃内の尿素を分解してアンモニアを生成し、周囲の強酸性環境を中和します。
生成されたアンモニアはアルカリ性であるため、ピロリ菌の周囲のpHを上げ、菌が生存可能な環境を作り出します。
ピロリ菌はアンモニアだけでなく、様々な毒素も産生します。これらの物質が胃の粘膜を傷つけ、菌の定着を助けます。
通常の細菌は強い胃酸(pH1~2)で死滅しますが、ピロリ菌は上記のメカニズムにより、pH6~7の環境を作り出し、生存することができます。
これらの特性により、ピロリ菌は人間の胃内という過酷な環境に適応し、長期間にわたって棲みつくことが可能となっています。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃に棲みつく主な原因は、経口感染です。
具体的には以下の要因が関係しています。
乳幼児期の感染
免疫力や胃酸がまだ弱い乳幼児期に感染が起こりやすい。
口移しや食器の共有などによる感染が考えられる。
衛生環境
衛生環境が悪い地域では感染率が高い。
胃の環境
ピロリ菌はウレアーゼという酵素を産生し、アンモニアを生成して周囲の酸を中和することで、強酸性の胃内で生存できる。
幼児の胃の特性
幼児の場合、胃酸の酸度や分泌量が低く、ピロリ菌が生存しやすい環境である。
家族間での感染
親や祖父母からの感染が考えられる。
制酸薬の内服
制酸薬の内服により胃酸のpHが上がると感染が成立しやすくなる。
重要なのは、一度感染すると、除菌治療を成功させない限り、成人してもピロリ菌は自然に消失しないということです。そのため、早期発見と適切な治療が重要です。当院では15歳からのピロリ菌検査を勧めています。
多くの場合、ピロリ菌感染は無症状ですが、胃痛や胃もたれ、食欲低下などの症状が現れることもあります。またピロリ菌は胃がんをはじめ、様々な病気に関与していると言われており、それぞれの病気に付随した症状が出る場合があります。
ピロリ菌感染が胃がんと結びつく具体的なメカニズムには、以下の要因が関与しています。
慢性炎症の誘発
ピロリ菌感染は慢性胃炎を引き起こし、長期的な炎症状態を維持します。この持続的な炎症が胃粘膜の細胞に遺伝子変異を蓄積させ、がん化のリスクを高めます。
萎縮性胃炎の進行
ピロリ菌感染により萎縮性胃炎が進行します。胃粘膜が薄くなり、胃酸や消化酵素の分泌が減少することで、胃の防御機能が低下し、がん化のリスクが上昇します。
CagAタンパク質の作用
ピロリ菌が持つCagAタンパク質は、胃の上皮細胞内に注入されると、DNA二本鎖切断や相同組換えによるゲノム修復機構の破綻を引き起こします。これにより、胃がん発症につながる遺伝子変異の蓄積が誘発されます。
遺伝要因との相互作用
相同組換え修復機能に関わる遺伝子(ATM、BRCA1、BRCA2、PALB2など)に病的バリアントがある場合、ピロリ菌感染との組み合わせにより、胃がんのリスクがさらに高まることが示されています。
長期的な影響
ピロリ菌感染は長期間にわたって胃粘膜に影響を与え続けます。上村直実氏の研究では、7.8年の追跡調査で、ピロリ菌感染者の2.9%に胃がんが発生したのに対し、非感染者からは胃がんの発生が見られませんでした。
これらの要因が複合的に作用することで、ピロリ菌感染が胃がんの発生リスクを高めると考えられています。
ピロリ菌感染は、胃の病気だけでなく、以下のような疾患との関連が報告されています。
これらの疾患は、ピロリ菌感染との関連が推測されており、除菌治療によって症状の改善や発症リスクの低下が期待されます。ただし、これらの関連性については、さらなる研究が必要な場合もあります。ピロリ菌の除菌は、これらの疾患の治療や予防、さらには感染経路の抑制に役立つ可能性があります。
ピロリ菌感染を診断するための主な検査方法には以下のものがあります。
最も信頼性が高く、非侵襲的な検査方法です。13C-尿素を含む検査薬を飲み、呼気中の13C-二酸化炭素の増加を測定します。
便サンプルを用いてピロリ菌抗原を検出する方法で、体への負担がありません。
血液検査で抗体を測定します。過去の感染も検出するため、現在の感染状況を必ずしも反映しません。またこの抗ピロリ菌抗体検査と、胃の萎縮粘膜の程度を調べるペプシノゲン検査を組み合わせた検査をABC検診(胃がんリスク層別化検診)と言い、血液検査のみで調べることが出来る簡易検査として当院でも実施しております。
内視鏡検査時に胃の組織を採取して行う検査です。
内視鏡で採取した胃組織を培養してピロリ菌を検出します。
内視鏡で採取した胃組織を染色し、顕微鏡でピロリ菌を直接観察します。これらの検査方法は、それぞれ特徴があり、状況に応じて選択または組み合わせて使用されます。当院では40歳未満で無症状の方はABC検診、症状のある方、または40歳以上の方は内視鏡検査といずれかのピロリ菌検査を勧めております。検査の際は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)や抗生物質の服用を2週間前から中止する必要があります。これらの薬剤はピロリ菌に対する静菌作用があり、検査結果に影響を与える可能性があるためです。
※保険適応でピロリ菌検査を行う場合には、胃内視鏡検査またはバリウム検査にて、萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの確定診断が必要になります。
ピロリ菌の治療は主に除菌療法によって行われます。この治療法は以下のような特徴があります。
1種類の胃酸分泌抑制薬と2種類の抗菌薬を併用します。1日2回、7日間の服用が基本的な治療期間です。
一次除菌
成功率は約80%です。
ボノプラザン(タケキャブ®)、アモキシシリン、クラリスロマイシン。
二次除菌
一次除菌が失敗した場合に実施します。失敗の原因として、きちんと服薬が守られていないこと以外に、ピロリ菌自体がクラリスロマイシン耐性となっている場合があります。二次除菌はクラリスロマイシンをメトロニダゾールへ変更します。
成功率は約95%まで上昇します。
ボノプラザン(タケキャブ®)、アモキシシリン、メトロニダゾール。
三次除菌
二次除菌も失敗した場合に検討されます。
保険適用外で自費診療となります。
除菌治療は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発予防、胃がんのリスク低下などに効果があります。患者様の状態に応じて適切な治療法を選択することが重要です。除菌治療には以下のメリットがあります。
ただし、除菌治療には副作用のリスクもあるため、医師と相談の上で治療を決定することが重要です。また、除菌後も定期的な胃がん検診が推奨されます。
ピロリ菌感染のリスクを低減し、感染が進行するのを防ぐための生活習慣には以下のようなものがあります。
トイレの後、食事の前、調理の前後には必ず石鹸と水で手を洗います。
食材は十分に洗い、加熱してから食べます。生肉や生魚を扱う際は特に注意が必要です。
特に感染者との食器の共有は控えましょう。家族に感染者がいる場合は、食器を分けたり食洗機を使用したりするのが効果的です。
胃カメラ検査を含む定期的な健康診断を受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。当院ではピロリ菌検査を15歳以上から勧めております。
胃の状態を良好に保つために重要です。
これらは胃粘膜を刺激するため、避けるべきです。
胃がんのリスクを高める可能性があるため、控えめにしましょう。
消毒されていない水の摂取を避けます。
これらの生活習慣を心がけることで、ピロリ菌感染のリスクを低減し、胃の健康を維持することができます。
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